やっぱりトキポナ、「簡単な言語」になり切れていない感がある。前置詞みたいな物と助動詞みたいな物が(中核の内容語と区別できない語形で)存在するせいで結合の方向が読み取りにくいのと、内容語の用法別の意味の広がり方が必ずしも規則的でないのが主に問題になる。人工言語の割に、惜しい。作者の当初の目的がカッチリ定義する事ではなかったので隙間があり、その後の言語変化をコミュニティーに任せてるから、という事かな。これは確かに mod を入れたくもなる。
うまく行ってる部分は面白い。
トキポナの「前置詞」は次の五つ。
・ タワ(tawa ; 〜へ動く)
・ タン(tan ; 〜から来る)
・ ロン(lon ; 〜にある)
・ サマ(sama ; 〜に似る)
・ ケヘケン(kepeken ; 〜を用いる)
但しこれらには内容語としての用法もある(「動き」「由来」「存在」などの意味)。単独で出現して修飾が付かない使い方なら紛れないけど、修飾語が後続すると単語列の形は前置詞句と変わらないので文意を混乱させる。
例えば「タワワワ」(tawa wawa)は前置詞句として読むなら「力に向かって動く」「強さへの移動」といった意味。でも内容語への修飾と取るなら「力強く動く」「高速な移動」になる。結合の振舞いも違う。「タワワワリリ」は前置詞句としては「tawa (wawa lili)」で「弱い力への移動」。内容語なら「(tawa wawa) lili」で「少しの高速移動」になるだろう。
前置詞は前置詞用法の方が典型的だとすると、内容語として使う場合には標識を付けたいよなあ。…などと思う人はほかにもいて、改造案が提出されているわけだ。
常に単語の最初の音節にアクセントが置かれるので、日本語気分で読むなら取りあえず「ケペケン」の最初のケ、「タワ・ワワ・リリ」のそれぞれの頭を高くするといいと思います。
内容語を片仮名で、前置詞を平仮名で書くとどうなるかな。
みたわテロ。mi tawa telo.「私は水辺に行く。」
みタワワワ。mi tawa wawa.「私は速く動く。」
みルキンえニ : ニミシエロ(内容語)りシテレン「片仮名」。ニミシンヒン(前置詞)りシテレン「平仮名」。
mi lukin e ni : nimi sijelo (content words) li sitelen Katakana. nimi sinpin (prepositions) li sitelen Pilakana.